当協会では、GAPを実践する農業者を応援、実需者とのマッチングを推進します。(持続的生産強化対策事業のうちGAP拡大推進加速化事業(令和5年度~))

GAPとは

安全な原材料を使いたい!でも、どうやったら安全な農産物がわかるの?

 GAP認証では、食品安全の確保、環境保全の確保、労働安全の確保、適切な労務管理や人権保護、適切な農場経営管理等に取り組んでいることを認証しています。
 GAPとは、「Good Agricultural Practices」の略で、持続可能性を確保する農業のやり方です。GAPの取り組みを第三者に認証してもらう、GLOBALG.A.P.、ASIAGAP、JGAPなどがあります。その他、国が定めた「国際水準GAPガイドライン」に準拠した「都道府県GAP」もあります。

 GAPに取り組むことで、リスクの低減や、経営の効率化や改善、経営者・従業員の資質の向上、販売先の信頼の確保などの効果が見込まれ、SDGsの達成にむけての重要な手法となってきています。さらに、2021年6月からは、原則としてすべての食品関連事業者に、HACCPに沿った衛生管理が義務化され、原材料のリスク管理手法やトレーサビリティのためにGAPが活用されています。そのほか、GAPの「認証をとる」ことが、輸出入にかかる取引条件や、オリンピックや大阪万博の食料調達基準など、販路拡大に必要なものとなってきています。

 参考:
(農林水産省)SDGsと国際水準GAPガイドラインとの関係
(農林水産省)改正食品衛生法の概要、HACCP手引書等について
(農林水産省)トレーサビリティ関係


GAP農業者と実需者のマッチング

令和5年度 国際水準GAPを実践する農業者と実需者のマッチングの促進事業において、GAP農産物の取引量を拡大するため、国際水準GAPに取り組む農業者と卸、小売、飲食業、食品加工業等の実需者の間の新たな取引関係の構築や維持を支援することを目的として以下の取組を行いました。

GAPマッチングサイト

当協会では、GAP普及促進のため国際水準GAPに取り組む農業者(以下「GAP農業者」)と実需者を結ぶ「GAPマッチングサイト」を開設いたしました。このサイトは、GAP農業者の皆さんに登録いただき、実需者の方々が検索できるシステムです。 GAP農業者の皆様の登録をお待ちしております。是非、販売PRのためご活用ください。

 GAPマッチングサイト
GAP理解促進セミナー

令和6年度農林水産省補助事業「GAP拡大推進加速化事業(国際水準GAPを実践する農業者と実需者のマッチングの促進)」を実施しており、その一環として、令和7年2月13日にWEBセミナーを開催いたします。
▼お申込はこちらから

令和5年度農林水産省補助事業「GAP拡大推進加速化事業(国際水準GAPを実践する農業者と実需者のマッチングの促進)」の一環として、令和6年2月29日にセミナーを開催いたしました。

  • GAPの必要性・有効性について 農林水産省 農業環境対策課
  • 国内農業の関連の取組について 双日株式会社 農業・地域事業開発室 関ゆりか氏
  • GAPに取り組んで GLOBALG.A.P.認証取得農家 (株)山口果樹園 山口慧氏

  • GAP農業者のご紹介

    株式会社ローソンファーム千葉(千葉県香取市)

    経営概要
    取得認証:ASIAGAP
    作目名:かんしょ(さつまいも)、だいこん、にんじん
    生産量:1,000t
    生産額:1億2千万円
    構成員:従業員12名(季節労働あり)

    GAPに取り組んだ経緯

    篠塚利彦さん
     生産者の顔が見える農場として全国17ヶ所を展開しているローソンファームの中で2010年にローソンファーム第一号として千葉県香取市に設立しました。ローソンで使用するローソンファームの野菜が「安全、安心であること」を周知してもらうために、SDGsにも対応しているJGAPを2016年に取得。2018年からはGFSIに対応したASIAGAPを取得しました。

    GAPを導入した効果
     複数人で働く中で、作業の見える化、ルールがしっかりあるというのは大きく、すべての作業員が理解し、合わせられるというのが効果としてはわかりやすい部分です。そのほか、トレーサビリティや、記録、収益の向上といった部分などは、GAP導入に関係なく目指していた取組みですが、GAPを導入することですべて付随されます。
     従業員に伝えていることは、生産性を上げるのは、効率化をしてあげることで、時間を量的緩和でやってこなすものではないということ。GAP導入でルールや作業が見える化できていることで、反収の量や質を上げるためのそれぞれの行動パターンの効率化などに注力し、日々作業を行うことが可能になっています。

    GAPを導入するポイント
     まず、自分の法人をどういう風に組織化したい、管理したいかというところを明確にすることが重要だと考えています。組織を運営していく上で、労働安全や経営管理、トレース、数字管理などそれぞれやらなければいけない部分がGAPにはすべてパッケージ化されているので、GAPというツールを活用して、プラスαで認証という対外的にPRできるという感覚で取り組んでいます。
     また、社内では、会議を定期的に行い、作業が見える化できていることで、日々の積み上げを振り返り、ロジックとして作業が数字管理につながっている事が意味合いとしてわかるように従業員に向けて説明を行っています。

    一言アピールなど
     会社の信用度、企業価値を高めるものとしてそこにはGAPが必要だと思います。経営的な部分でも、従業員の安全・安心といった部分としてもGAPはメリットがあります。
     ローソンの力添えが大きいということもありますが、おかげさまで15年目に入りました。会社として文化として、さらに強固なものにして長く続けられるように、区切りのいいところで100年続く企業を目指して活動しています。
    (2024年6月25日 取材)

    株式会社ローソンファーム千葉
    https://lawsonfarmchiba.com/

    農事組合法人きのくに農業村(和歌山県橋本市)
    取得認証:ASIAGAP
    作目名:ほうれんそう、サラダほうれんそう
    生産量:110t
    生産額:8,300万円
    構成員:32名在籍(山本さんほか社員5名、パートなど)

    GAPに取り組んだ経緯

    山本恵哉さん
     2022年 ASIAGAPを取得。
     将来的に輸出することを目標にしていたため、国際的なライセンスであるASIAGAPを取得していることが、輸出取引の大きなポイントになると考えていました。また、水耕栽培施設では既にGAPの条件がある程度整っており、取得できる可能性が高いと感じたため、ASIAGAPを取得しました。

    GAPを導入した効果
     GAPを取得する意味合いは非常に高いと感じています。GAPにはメリットとしての存在感があります。やはり食品安全や労務管理、環境汚染などのリスク管理、そしてその管理方法の見直しなどは、やっていないよりは、やっているほうが良いと思います。万が一、問題が起きても工程管理をしっかり行っているため、はっきりと状況を答えることができます。その結果、取引の信頼度が上がります。

    GAPを導入するポイント
     GAP農産物だからといって、売り上げが上がるわけではありません。農家には各自のやり方があり、急に方向を変えるというのは非常に難しい。そのためGAP導入のメリットを実感できないと、認証取得や継続は厳しいと感じます。現に「お金と手間ばかりかかる」とやめてしまった方も知っています。
     施設や環境によって条件が異なるため、GAPのマニュアルをそっくりそのまま当てはめるのではなく、自身の施設に合った形で取り組んでいくことが重要です。また、経営者と従業員では立場が異なるため、GAPに取り組むモチベーションも違ってきますが、それぞれの立場においてGAPを把握・理解できるよう整理し、ひとりひとりが自覚をもって行動することが大切です。

    一言アピールなど
     水耕栽培で1年を通して生産ができることが競合農家との競争力となっています。もっと知名度を上げて、ブランド化していきたい。
     GAPを取得したからにはもっと有効に使いたいと思いますが、GAPは、まだバイヤーや商品を購入してくれる企業などにあまり広まっていないと感じています。そのためにもGAPの知名度が上がり「GAPを取得していないと農産物を買わない」という意識がさらに高まっていくことを願っています。
    (2024年7月25日 取材)

    農事組合法人きのくに農業村
    http://www.kinokunifarm.com
    農業生産法人(有)ウラタ農園(福岡県糸島市)
    取得認証:ASIAGAP
    作目名:水菜、スイートコーン、ほうれんそう、にんじん等
    生産量:170t
    生産額:1億2千万円
    構成員:浦田さん、妻、弟、技能実習生5名、パート23名

    GAPに取り組んだ経緯

    浦田康明さん
     2016年にJGAP Advance(現ASIAGAP)を取得。
     農薬保管庫が欲しいと思っていた時に、GAP取得に関する国の補助事業「GAP認証取得支援事業」の情報を得て、認証取得を決めました。当時は、GAPのことは誰も知らない、誰に聞いたらよいのか分からない、コンサルタントもまったくいないという状況。JGAP Advance(現ASIAGAP)を申請するつもりで準備していた資料が、実はJGAPのものだったりと、すべてにおいて分からないことだらけで、取得までの道のりは本当に大変でした。

    GAPを導入した効果
     GAPは、全国的には広がりを見せているかもしれませんが、福岡県はまだまだ消極的だと感じます。GAPを取得したからと言って付加価値がつくわけでもなく、商品が高く売れるわけでもありません。市場出荷メインの生産者にとっては、あまりメリットがないのでは?とも思いますが、従業員が働く上でのルールの明文化や、情報共有に対して、大きなメリットを感じています。働く人数が増えれば増えるほど、個人が良かれと思って判断したことが、必ずしもよい結果にならないこともあります。統一した行動規範を作っておけば、間違いはありません。
     そういう面で、GAPの導入は大事なことだと思っています。人が集まると、どう動いて良いかわからないとか、個々の動き方が違うとかいう問題も出てきます。それをがちがちに縛るということではありませんが、ルールやフローチャートを作っておけば、それを参考にして、誰にでも出来るような仕組みが構築できます。
     また、危険個所のあぶり出し(見える化、共有)ができて、その予防ができるのも良いところだと思います。就農環境がしっかりしていれば安心して働いてもらえるし、後継者の育成にもつながると考えています。いまでは、地域の雇用創出の場としての役割も果たしています。
     水菜は、仲卸を通じて、香港やシンガポールでも販売しています。
     「自分で作ったものを直接海外で売りたい」という考えは、誰しもが持つと思いますが、いざ自分でやろうとするとリスクの方が高く、それならば、商社に納入する形がいいだろうと言う話になりました。それも、ASIAGAPを取得しているからこそできる話です。 トウモロコシとほうれんそうでもASIAGAPを取得していますが、管理はどれも同じで、フローチャートに沿って生産したものを、最終的に安全なものかどうか確認して出荷しています。

    GAPを導入するポイント
     GAPに取り組むにあたり、ソフトの利用は必須だと思います。ウラタ農園ではアグリノートを使用。ソフトはいろいろありますが、自社の経営内容に合ったものを使用することが大事と考えます。

    一言アピールなど
     「農明」を企業理念に、農業を通じて若者を育成していきたいと考えています。また、労働時間等も含め、若者が就農できるような環境を、会社として整えていきたいと思っています。


    (2024年8月2日 取材)

    有限会社ウラタ農園
    https://www.uratafarm.com/
    有限会社まるせい果樹園(福島県福島市)
    取得認証:JGAP、ASIAGAP、GALOBALG.A.P.
    作目名:さくらんぼ、もも、ぶどう、りんご、なし、柿など
    生産量:もも500kg、りんご1,000kg など
    生産額:1億8千万円(2023年)
    構成員:役員3人、社員10人、パート・アルバイト5人、短期アルバイト10人

    GAPに取り組んだ経緯

    佐藤ゆきえさん
    2013年 JGAP取得(2015年、GAP普及大賞特別賞を受賞)
    2017年 ASIAGAP取得
    2023年 GLOBALG.A.P.取得
     だんだんと組織が大きくなり、「良い組織を作るためにもルール化をしたい」と考えていたところ、GAPの存在を知り「今、ここにいちばん必要なものだ」と感じたことがきっかけとなり、GAPを取得しました。

    GAPを導入した効果
     作業内容をルール化することで作業効率が上がり、結果的に経費削減につながるというプラスの効果が出ています。
     近年、若い従業員の提案によりLine Works(ラインワークス)を導入し、活用しています。スマートフォンやタブレットで利用できるため、全員が朝礼や作業の報告を見ます。そのことによって、改善事項にもすぐ対応できるようになりました。操作方法を聞いたり教えたりすることで世代間の交流が生まれ、さらに円滑に業務が進むようになるといった相乗効果も生まれています。

    GAPを導入するポイント
     安心安全なものを提供するために、品質管理、安全管理を厳格に行っています。もしルール違反があった場合には、かならず是正報告を行い、なぜそうなったのか、今後どのように改善すればよいのかを、本人自らにしっかりと考えてもらいます。また、経費はかかってしまいますが、残留農薬検査等を行うことで、従業員の意識も変わってきます。ひとりひとりが自分で考えてGAPに取り組むようになることが大事だと考えています。
     GAPは勲章ではありません。取得してからどのくらい有効に活用できるかということが重要です。GAPという道具を上手に活かすことで、すべてがうまくいきます。それができれば売上向上につながり、経営力が伸びていき、様々な可能性につながっていくと考えています。

    一言アピールなど
     GAPを取ってよかったと感じていて、やめようと思ったことはありません。認証農場だという意識やプライドもあります。
     今年からは、新たな取り組みとしてインドネシアへの輸出も開始しました。今後もGAPを継続しながら、従業員の提案も取り入れ、常に改善を行いながら成長していきたいと考えています。
    (2024年8月20日 取材)

    有限会社まるせい果樹園
    https://www.maruseifukushima.com/

    関連情報

    普及啓発動画

    農業者による国際水準GAPの実施及び認証取得の拡大を図るため、GAPが求められる背景、必要な取組、GAP認証の種類等わかりやすく説明している動画です。

    ※この動画は平成31年3月に作成したものです。

    リンク


    全国農業改良普及支援協会

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