質問 |
焼酎づくり推進協議会(構成は市、商工会議所、JA、生産組合(任意組合)、加工業者、酒造業者、農業改良普及センター)で企画して、焼酎の新製品を造った。 その焼酎を商標登録したいが、協議会は登録者になれるか。なれない場合、誰が登録するのが適当か。 |
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回答 |
商標権者(登録者)になれるのは(自然人か)法人(権利能力があるということ)に限られます。「焼酎づくり推進協議会」が、各構成団体の集まりであって、それ自体法人格がないとすれば、商標権者にはなれません。
では、誰が商標権者になるのが適当かですが、方法としては、まず、各構成団体が共同名義で出願し登録するという手立てが考えられます。その場合、商標権は出願人に名を連ねた団体の共有に係る権利となります。
この場合、以下の団体は出願人(商標権者)になることができます。
→市(地方公共団体)、商工会議所、JA(農業協同組合)、加工業者(法人であれば)、酒造業者(法人であれば)。
しかし、以下の団体は出願人(商標権者)になることができません。
→生産組合(任意組合は法人格がない)ただし、法人格を有する生産組合は可、農業改良普及センター(法人格がない)
ということで、上述した複数人の共有に係る権利は、関わった全ての団体を共同名義人とすることができず(法人格がないと権利者となれないため)、不公平感が否めません。また、共有者の同意を要する手続(ライセンス等)、協議会から脱退する場合の持分放棄や譲渡等の取扱いにも、煩雑さを伴うという問題があります。
そのため、このケースでは、活動の中心となった団体が単独で、各構成メンバーの同意の下、商標権を取得し、他の構成メンバーに無償でライセンス供与するという手立てをとるのが、好適ではないかと考えます。公平性が担保され、組織としての安定性と継続性および一定の管理能力を備えた団体であれば、その団体の名義で登録すればよいと思います。
そして、もし折り合いがつかないということであれば、活動の中心となった団体が複数で商標権を保有し(少人数の共同名義)、他の団体には無償でライセンス供与するという手立てをとるのがよいのではないかと思います。
なお、出願する商標が、「地域団体商標」(地域ブランド)に該当する場合、すなわち、「地域名+焼酎の種類の普通名称等」の文字のみからなる商標(登録例としては「大分麦焼酎」「奄美黒糖焼酎」)であって、その地域の消費者に広く知られている場合には、農業協同組合が出願人(商標権者)となれます。
また、商標に図形が結合している、ロゴ化している、あるいは未だ消費者に知られていない等、「地域団体商標」に該当しない商標であっても、「団体商標」として、農業協同組合、商工会議所が出願人(商標権者)となれます。
地域団体商標又は団体商標として登録する権利関係上のメリットは、特定の事業者が権利者となることに馴染まない商標について、農業協同組合等が商標権者となり、その構成員に使用させることができる、という点にありますが、組合員以外の者(本件で言えば加工業者等)の使用については、その都度、別途使用を許諾するということになります。
(平成21年1月)
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