JADEA 一般社団法人全国農業改良普及支援協会
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トップページ各種情報知的財産(農林水産分野知的財産人材育成総合事業)寄せられた質問と回答商標権・地域団体商標制度に関する質問質問と回答
質問と回答
質問
 畜産物の商標登録について
養豚農家から自家生産の豚肉の商標登録を取りたいとい依頼がありましたが、どのような手続きで進めた方がいいか教えてください。また、畜産物の商標登録を取ることは妥当かどうかも考えています。メリット、デメリットも教えてください。
豚肉についても飼育方法を抗生物質を利用しないことを特徴としてブランド化させることは可能でしょうか。
なお、養豚農家は法人化しており豚も3000頭程度飼育しており中型規模の経営です。
回答
 養豚農家が自家生産の豚肉について自社のブランドあるいは商標について商標登録を受けたいということであろうと理解いたしました。抗生物質を使用していないものであったり、飼料が特別のものであったり、肥育方法がほかとは異なるなど、商品の差別化を図ることはマーケッティング戦略上非常に有効な手段であると考えます。その差別化戦略をシンボル化する商標をつけます。ネーミングといってもいいかもしれません。そのときに、自らの商標を守るためには、商標登録を受けることが必要になります。したがいまして、商標登録の出願を早めにされることをお勧めします。
その際に重要なのは、他人の登録商標をデータベースでチェックして、自らの商標が他人の先行登録の商標に抵触していないことをまず調べる必要があります。自らの商標の使用を開始してしまった後に他人の登録商標の存在に気がつくと、自らの商標を変更するコストがかかったり、せっかく気づき始めた信用を害する結果になってしまう恐れがあります。出願後に他人の先行登録商標があることがわかると、これも出願費用の無駄につながります。
 もう一つ重要な点ですが、商標登録を受けるためには、その商標に「識別力」が求められます。例えば、餃子に使う「おいしい餃子」という商標は、通常は、識別力がないので登録されません。商標法の規定を見てみると、第3条に、「1.その商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標、2.その商品又は役務について慣用されている商標、3.その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状(包装の形状を含む。)、価格若しくは生産若しくは 使用の方法若しくは時期又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、数量、態様、価格若しくは提供の方法若しくは時期を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」は登録されない旨が規定されています。つまり、分かりやすい商標というのは、往々にして、この識別力がないものとされます。一方、それ自体識別力のない普通名称でも図案をつけるなどすれば登録される可能性が生じます。識別力があるなしの線引きは微妙です。
 やはり、最初に商標を何にするかの段階で、弁理士に相談すすることをお勧めします。
 このように商品の差別化を図ろうとするときに商標を使い、その商標について登録を受けるのは基本です。メリットとデメリットをおたずねですが、デメリットとしては、商標登録を受けるためには費用がかかることくらいしかないでしょう。弁理士の費用と特許庁に支払う料金とを合わせて、商標登録出願をして最初の登録(10年間有効、更新可能)を受けるために、15万円くらいを考えておけば目安になるかと思われます(これは、指定する商品または役務(サービスのこと)が特許庁による45の区分分けで一つの区分に収まる場合です)。出願から商標登録までの期間はおおむね1年以内です。
 なお、最近話題になっている「みやじ豚」の場合も商標登録がされております(登録第5154531号)。
(平成21年8月)
回答者 日本弁理士会
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