質問 |
山取りの花木を個人育種で選抜したものを品種登録するには、なかなかその個体を証明できる物的な根拠がとれにくいのですが、どのようにすれば品種登録できるでしょうか(特性審査のためにどのようなデーターが必要でしょうか)。 |
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回答 |
種苗法では、品種の育成をした者が品種登録を受けることができるとされており、「育成」とは、人為的変異又は自然的変異にかかる特性を固定し又は検定することと定められています。「人為的変異」とは交配により親とは異なる形質を持つもの、「自然的変異」とは枝変わり等の突然変異により親とは異なる形質を持つもの、と考えられます。これらの親と異なる形質を固定または検定した場合新品種を育成したことになります。
ご質問の方は「品種登録するためには当該品種の両親の名前(交配の場合)又は元の品種(枝代わりの場合)を出願書に明記しなければならない」とお考えのようですが、出願書では親品種の特定は必須ではありません。
例えば、交配の場合は、「出願者の保有する育成系統(・・県・・市の山林に自生する野生種からの選抜系)同士を交配」、「育成者保有の育成系統の自然交雑」又は「栽培していた野生種の自然交雑実生と思われる個体を園内で発見」等と書く場合もあります。
突然変異(枝変わり)の場合、「・・年に・・県・・市の山林に自生している○○(植物名)の野生種の中に(あるいは野生種を採取し、自園で栽培中に等)□□(花色等の特性)の変化したものを発見し、増殖を行いながら特性の調査をし、◎◎年にその特性が安定していることを確認した」等と書くこともできます。
しかし、ご注意いただきたいことは、野生種そのものは新品種とはなりません。野生種の中にあった変異株又は枝変わりを採取した後、育成することが必要です。(ただし他に同様の特性を有する(区別性のない)品種があれば品種登録することはできません)
なお、特性の確認をする場合には、必ず野生種そのもの(出願しようとする品種の親になったもの)も一緒に栽培して区別できる特性を調査し、写真等を撮っておいたほうがよいと思います。また、調査した特性については野帳(計測値等)を残しておくことをお勧めします。野生種については出願後も保存をしておいたほうが、審査がスムーズに行くことになります。特性の調査方法及び調査点数等については農林水産省知的財産課のホームページ等で確認してください。
出願に当たって、特性調査、出願書の記載等、具体的な疑問がある場合はまたご相談ください。
(平成21年2月)
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参考文献 |
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回答者 |
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品種登録コンサルタント |
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