質問 |
両者が合意すれば契約は成立しますが、品種利用許諾契約に盛り込めば、種苗法に反することでも大丈夫になるのでしょうか? 例えば、(JA部会などある範囲内での)農家間の種苗の譲渡など、育成者権をもつ者が、「いいよ」といえば何でもよくなるのでしょうか? |
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回答 |
契約は両者の合意で成立する(契約自由の原則)とは言っても、全て自由に決められるものではありません。当然ながら、公序良俗に反する契約は無効ですし(民法第90条)、強行法規に反する契約も無効です(民法第91条)。
したがって、お互いの合意で成立した品種利用許諾契約であっても、それが種苗法の強行規定に反するような契約は許されません。例えば、種苗法には「登録品種(登録品種であった品種を含む。)の種苗を業として譲渡する場合には、当該登録品種の名称を使用しなければならない。」というような規定があり(種苗法第22条第1項)、これは強行規定だと思われますので、これに反する契約は無効です。つまり、登録品種名以外の他の品種名を用いるような契約をお互いに交わしたとしてもその条項は無効であり、別の品種名を用いて販売することはできません。もし差別化を図りたいというのであれば、育成者権者とは違った商標を考え、それを付して販売するとよいでしょう。
一方、強行規定に反しなければ、契約はお互いの合意で自由に行えますので、例えば、育成者権者から「正規に購入した種苗を自家増殖すること」や「その増殖した種苗をJA部会の範囲内で農家に販売すること」を認める契約を育成者権者と結んだならば、それは有効ですので自由に行えます。なお、この点は省令により農家の自家増殖が認められない植物についても、同様です。契約で育成者権者が許容すれば自由に行えます。
(平成20年10月)
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