質問 |
次のような対応は、育成者権の侵害になるでしょうか
【1】農家が隣の家から種を分けてもらい栽培し、直売所で販売している場合
【2】農家が食用として販売されている豆を自分の畑にまき、収穫物を得て販売している場合
【3】生産組合や集落営農組織が種子を購入し、それを増殖して組合員に配布する場合
【4】市等が種子を購入し農家に栽培させる場合
【5】市等が種子を購入して、生産組合の一部の構成員に配布し、これを増殖して翌年別の組合員にも栽培させた場合 |
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回答 |
該当する品種は、全て登録品種であり、かつ自家増殖が制限されている栄養繁殖をする植物に属する品種の種苗でないとの前提で回答いたします。
なお、当該品種が登録品種でなければ、質問1〜5の行為には何ら問題ありません。
【1】 隣の家から分けてもらう種子が正規に入手(育成者権者等の権利者若しくは権利者の許諾を得た種苗会社又は卸・小売業者等適正な流通経路から入手)したそのものの種子である場合は、権利が消尽した種子であるので、権利侵害にはなりません。しかし、その種子が隣の家で増殖した種子であった場合は、その種子を利用する行為は権利侵害となります。
なお、隣家の行為(種苗を増殖して第三者に譲渡)ついても権利侵害となります。
【2】 食用として販売されている豆を種子に転用し、収穫物を得て販売することは、許諾を受けずに種苗を利用したこととなり、権利侵害に当たります。
【3】 生産組合等が農業生産法人(農地法第2条第7項に規定する農業生産法人)である場合は、自家増殖となり権利侵害にはなりませんが、農業生産法人でない場合、正規に種子を入手したとしても、当該種子を増殖・配布する行為については権利侵害となります。
【4】 市等が種子を正規に購入した時点でその種子に関する育成者権は消尽していますので、その種子を農家が譲渡を受けて農家自身が栽培することは権利侵害には当たりません。
【5】 【3】に同じです。
●参考
【種苗法】
(育成者権の効力が及ばない範囲)
第21条 育成者権の効力は、次に掲げる行為には、及ばない。
〜 中略 〜
2 農業を営む者で政令で定めるものが、最初に育成者権者、専用利用権者又は通常利用権者により譲渡された登録品種、登録品種と特性により明確に区別されない品種及び登録品種に係る前条第2項各号に掲げる品種(以下「登録品種等」と総称する。)の種苗を用いて収穫物を得、その収穫物を自己の農業経営において更に種苗として用いる場合には、育成者権の効力は、その更に用いた種苗、これを用いて得た収穫物及びその収穫物に係る加工品には及ばない。ただし、契約で別段の定めをした場合は、この限りでない。
3 前項の規定は、農林水産省令で定める栄養繁殖をする植物に属する品種の種苗を用いる場合は、適用しない。
〜 以下略 〜
【種苗法施行令】
(農業を営む者)
第5条 法第21条第2項の政令で定める者は、農業を営む個人又は農地法(昭和27年法律第229号)第2条第7項に規定する農業生産法人とする。
〜 以下略 〜
(平成20年11月)
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回答者 |
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独立行政法人 種苗管理センター業務調整部品種保護対策課・品種保護Gメン |
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